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【対談】2023⁻24シーズン脱炭素プロジェクトのレビューと、今後のカーボンニュートラルアクションについて
いつもアルバルク東京への応援ありがとうございます。
アルバルク東京は、SDGsサポーターであるe-dash株式会社と協働し、2023⁻24シーズン中の主要な活動から排出した二酸化炭素(以降 CO₂)排出量を算定して、カーボンオフセット(排出量の相殺)を行いました。この取り組みは2022⁻23シーズンに続いて2シーズン目となります。
今回は、カーボンニュートラルに向けた取り組みについて、アルバルク東京とe-dashのプロジェクトリーダーが対談を行いました。クラブとして取り組む過程で学べたことや見えてきた課題を、多くの方と共有できれば幸いです。(合わせて、文末のリンクより、過去の記事についてもご参照下さい。)
1.脱炭素プロジェクト2シーズン目。「排出量の増加」という結果をどう考えるか
e-dash株式会社
ソリューション&アドバイザリー部 部長
今泉 覚氏(以降、e-dash 今泉)

トヨタアルバルク東京株式会社
経営企画部 企画室長 兼 コミュニティ・SRグループマネージャー
栗盛 謙(以降、ALV栗盛)

ALV 栗盛
「今シーズンもCO₂排出量の算定からカーボンオフセットの実行までe-dashさんに多くのサポートをいただき、ありがとうございました。」
e-dash 今泉
「どうもありがとうございました。」
ALV 栗盛
「早速ですが、今回は2023⁻24シーズンが対象ということで、1シーズン前のものについての算定から処理までの作業でしたが、やはりやると時間がかかるものですね。」
e-dash 今泉
「そうですね。CO₂の排出量はタイムリーに測定しにくいものが多いので、事後的にさまざまなデータから算定することになります。そうするとその作業に時間がかかりますし、カーボンオフセットを行う時のカーボンクレジットの選定や購入にも時間がかかりますね。」
ALV 栗盛
「だから『測定』ではなくて『算定』なんですね。さて、今回は算定2シーズン目ですが、最初のシーズンの1,212トンから2,204トンに排出量が増えてしまいましたね。」
e-dash 今泉
「はい。最大の要因は、今シーズン飛行機を利用する遠隔地からいらっしゃるお客様の数が大幅に増えたことです。また、グッズの売り上げが増えたことと、今回からアウェイゲームにおけるチーム関係者の移動も算定に加えたことが影響しています。」
ALV 栗盛
「カーボンニュートラルを推し進めるクラブとしての悩ましさはあります。しかし、いずれも事業の柱になる活動ですし、アルバルク東京やバスケットボールを愛して下さる方々が増えている証拠でもありますから、その面では大いに喜ぶべきことです。また、CO₂排出量の問題には、事業成長とのジレンマが起きる本質的な構造があります。従って、まずはこうして自分たちの事業活動から排出されるCO₂の量をちゃんと把握することと、その中で自分たちができること、できないことを考えることが大事だと考えています。」
e-dash 今泉
「その通りだと思います。また、CO₂排出量の算定も一定のロジックで行っているので、実際の排出量との誤差が生じます。例えば、土日の試合に遠方からいらっしゃるお客様については、土曜日に一往復、日曜日に一往復の、合計二往復分飛行機で移動するロジックになっていますが、実際は土曜日は宿泊している方が多いですよね。本当はそこまで精緻に取れるといいのですが、取得できるデータなどの限界により、そこまで追いきれない部分もあります。従って、あいまいな部分は『最大このくらい排出しています。』という形で出しています。」
ALV 栗盛
「はい。なので、私たちとしてはなるべくCO₂の排出量を減らす努力はしつつ、排出してしまったCO₂については、算定した排出量に基づいてカーボンオフセットすることでカーボンニュートラルを実現しようと考えています。」
e-dash 今泉
「そうですね。CO₂はあらゆる活動から発生してしまうので、排出量を0にすることはできません。従って、排出量を減らす努力と、出してしまったCO₂はカーボンクレジットを活用してカーボンオフセットすることにセットで取り組むことが有効です。」
2.カーボンオフセットに取り組む時の注意点 ~ 信頼できるカーボンクレジットを選ぶ


今回は合計2,204トン(t-CO₂)のカーボンクレジットを購入し、カーボンオフセットを行った。なお、カーボンクレジットの内容は、バングラデシュのガス漏れ削減プロジェクトとした。
ALV 栗盛
「今回のカーボンオフセットにあたっては、数あるカーボンクレジットの中からいくつかご推薦いただき、最終的にはバングラデシュのガス漏れ削減プロジェクトのカーボンクレジットを購入しました。そしてこのプロセスを通じて、カーボンクレジットを選ぶ際の注意点を学べました。」
e-dash 今泉
「そうですね。カーボンオフセットはカーボンニュートラルに向けて重要なしくみですが、最近はカーボンクレジットの質に対する関心が世界的に高まっています。背景には、カーボンクレジットを購入するだけで、自社の排出削減努力を怠り、見かけだけ環境に配慮しているように見せる『グリーンウォッシュ』を行う企業への問題意識があります。また、カーボンクレジットの中身についても、CO₂削減効果に疑問があるものや、そのプロジェクトを進めることが他者の権利や生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があるものもあり、カーボンクレジットの信頼性をしっかり見極めることが事業者にも求められるようになっています。」
ALV 栗盛
「そうですね。そうしたことで今回いろいろ学びましたが、要は、『そのカーボンクレジットが本当に存在し、他者の権利や環境を侵すことなく、CO₂の削減に有効であることと、それがちゃんと検証されること。』といったあたりが検証のポイントだと理解しました。一方で、それを自分たちで判断するのは難しいですよね。」
e-dash 今泉
「はい。なので、そうしたカーボンクレジットの信頼性を認証する機関が世界にいくつかあります。今回購入したカーボンクレジットは、世界的な認証基準である『CCP』という基準を取得しています。また、世界的なカーボンクレジットの格付け機関である『BeZero』の評価Aを取得しています。一般に、この格付けではBBB以上が信頼性と削減効果が高いとされています。」
ALV 栗盛
「そうですね。このあたりは専門家でなければ分からないので、教えていただいてとても助かりました。選ぶ側としてもこうした知識がないと、せっかくいいことをしたと思っても、思わぬ経営リスクにつながってしまいますよね。」
e-dash 今泉
「その通りです。そして、こうした情勢は日々変化していきますので、その状況に応じて適切なアドバイスができるように努めています。」
3.これからのアルバルク東京のカーボンニュートラルアクション
e-dash 今泉
「アルバルク東京さんはいろいろなカーボンニュートラルの取り組みをされています。そうした取り組みを知ったスポーツチームさんから我々がお問い合わせをいただくケースも増えてきました。今後はどのような方針で進めるのですか?」
ALV 栗盛
「ありがとうございます。昨年、私たちは『ALVARKの3つのWill』として、注力していく社会課題領域を『成長』『健康』『環境』の3つに定めました。カーボンニュートラルアクションは、『環境』領域の中核的な取り組みとして、今後も続けていきます。」
e-dash 今泉
「いよいよ、2025年秋からは新しいアリーナに行きますね。」
ALV 栗盛
「はい。新アリーナであるTOYOTA ARENA TOKYOは、サステナビリティを重要な軸の一つに置いています。それは例えば、電力は再生可能エネルギー100%で供給するなどの具体的な仕様に反映されています。また、建物だけではなく、場所が変わればクラブとしての事業活動にも変化があるでしょう。その中で、しっかりとカーボンニュートラルアクションを、ファン、パートナー企業、地域の方々と連携して推進していきたいと考えています。」
e-dash 今泉
「楽しみですね。」
ALV 栗盛
「はい。最近では、『環境問題』という共通言語を通じて、競技種目や業界を超えてさまざまな方と接点を持たせていただくことも増えました。その中で感じるのは、どうしても『環境問題』は複雑で難しく語られがちだな、ということです。その点、年齢や性別も含めて多様な方々に注目していただけるので、なるべく私たちを通じて多くの方が環境問題についてわかりやすく知ったり、取り組んだりできるようなきっかけを持てるようにしていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。」
e-dash 今泉
「ありがとうございました。」

【かんたん解説】記事に出てくるキーワード
この記事で使われている、環境に関するキーワードの解説です。
カーボンニュートラル(Carbon Neutral)
私たちの活動(経済活動や日常生活)によって排出される二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの「排出量」から、植林や森林保護などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを目指す考え方です。排出を完全に無くすことは難しいため、どうしても出てしまう排出量については、他の場所での削減・吸収活動(カーボンオフセット)で埋め合わせる、という考え方が一般的です。
カーボンオフセット(Carbon Offset)
自分たちの活動でどうしても排出してしまうCO₂などの温室効果ガスについて、他の場所での削減・吸収活動(例:省エネ設備の導入支援、森林管理プロジェクトなど)に投資したり、その活動によって生まれた「削減・吸収価値(=カーボンクレジット)」を購入したりすることで、自分たちの排出した量を「埋め合わせる(=オフセットする)」という考え方や取り組みのことです。
カーボンクレジット(Carbon Credit)
他の場所で行われた温室効果ガスの削減・吸収活動(プロジェクト)によって生み出された「削減・吸収価値」を、証明書のようにして取引可能にしたものです。 企業などがカーボンオフセットを行う際に、このクレジットを購入することで、自分たちの排出量を埋め合わせたと見なすことができます。 記事中にもあるように、そのクレジットが本当に信頼できるものか(削減効果が確かなのか、環境や社会に悪影響がないかなど)を見極めることが大切になっています。
過去記事リンク
2023-24シーズンのCO2排出量算定結果 ご報告
https://www.alvark-tokyo.jp/news/detail/alvarkwill/partner/id=19959
2022-23シーズン 脱炭素プロジェクト結果のご報告
https://www.alvark-tokyo.jp/news/detail/sr/id=18845
【対談】カーボンニュートラルアクションについて、想いを共にする仲間と語る
https://www.alvark-tokyo.jp/news/detail/sr/id=18846
今回の取り組みは、アルバルク東京の社会的責任プロジェクト「ALVARK Will」の活動方針のもと、SDGs の17の目標のうち「13 気候変動に具体的な対策を」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献します。
「ALVARK Will」について
AVARK Willは「東京で、共に生きる人たちと幸せに暮らしていける環境を作っていきたい」という思いのもと取り組んでいる社会的責任プロジェクトです。2021年の発足から3年間の活動を振り返り、今後は、かかわりが深くまたアルバルク東京の強みを生かせる「環境」「健康」「成長」の3つの分野を重点的に取り組むこととしました。
より多くの人々に愛され、社会にとって必要とされるクラブであるためにも、これまで以上に力を入れて社会的責任活動に取り組んでいきます。
https://www.alvark-tokyo.jp/alvarkwill
SDGs サポーター












